御影 弟組 MIKAGE OTOGUMI 其の参

          於 蓮 

          おれん    




  荒山砦へ続く尾根道の中程辺り

  山の風がそよと吹き

  道に張り出た小枝が小さく揺れた其の様に

  つと足を止めた竜三郎の脳を

  左近の鯰の髭の如き不適な笑みが一瞬過るも

  奴には知る由も無き事と思い直し 

  水溜まりに映る月を頼りに踏み出す足が

  ぱしゃりと溜まり水を踏み撥ねた其の時

  眼の前の篝屋から灯りが漏れ出た


「 誰だ 」

  狐蛇が低く唸る

「 わっ 私(わたくし)でございます )

  松明を掲げた従卒が篝屋から飛び出し様片膝付いて面を上げ

 た 未だ前髪(まえはつ)が残り 松明の灯りに映える従卒の面は

 美しく狐蛇は思わずごくりと息を呑む

⦅ 今迄気付かなかったが …

 此奴の面 夜にはこうも美しい面に変わるのか … 

 成る程な … ⦆

「 蓮次丸 此処で何をして居る 

  篝屋に火を点(とも)せとは まだ命じて居らぬが 」 

「 はっ 供は要らぬとの仰せではございましたが 曲者騒ぎが

 在ったばかりでございます

  村島様の御身に何か有ってはと 此処で御待ち致して居りま

 した 」

「 俺の命が聞けぬのか

  俺が要らぬと言うた成らば要らぬのだ

  此度は赦すが次は無きものと思え 」

  ははと平伏す蓮次丸の鉢金に汗がじわりと滲み 狐蛇は震え

 る其の細い肩を今直ぐにも抱き寄せたい衝動を抑えつつ 乾い

 た分厚い唇で優しげに問いを掛けた

「 蓮次丸 其の二本の竹筒の何れかは御酒か 」

「 はっはいっ 熊沢様より村島様の従卒を務めるのであれば御

 酒は欠かさず持ち歩けと仰せつかって居りましたので 御酒は

 此方の筒でございます 」

  蓮次丸が差し出す丸に酒と墨書きされた筒を手に 篝屋の中

 へと入り込んだ狐蛇は 框(かまち)へ腰を掛け様ぐびりと一口流

 し込む

「 うむ 良く冷えて居るではないか 」

「 御待ち致して居ります間 裏の清水に沈めて居りました 」

「 次いでに水を浴びたか 」

「 はいっ あっ 酒筒を汚さぬ様 私(わたくし)は下(しも)で浴

 びたのですが … 」

「 案ずるな 其の様な事を気にする俺ではない … 

  蓮次丸 俺も浴びて参る故此処で待って居れ 」

  言うなり 其の場で下帯一つと成った狐蛇は 裏木戸を抜け

 てせせらぎの中へと身を投じ 一人残る蓮次丸は篝籠へ差し入

 れた松明の灯りを背に 男の着物を畳み出し 畳み終えた着物

 の上へ男の匂い袋を乗せて頬を寄せ そっと目を閉じ 袋の匂

 いと混じり合う男の香りを胸一杯に吸い込んでは大きく息を吐

 き 男が戻る迄の間せせらぐ音の調べを窺い乍ら独り悦に入る

  程無く

  再び下帯一つで現れた男は 同じ場所に腰を下ろし様御酒を

 ごくりと流し込み 土間に控えて俯く蓮次丸へ向いた口がそろ

 と開く

「 ところで蓮次丸 鵜納の首 上手く刎ねたな

  蓮次丸め 何時の間に腕を上げたと皆驚いて居ったぞ 」

「 はっ 御指名に預かりました手前村島様の目の前で下手は打

 てぬと 無我夢中で刀を振り下ろしましたならば 鵜納殿の首

 がごろりと転げて居たのでございます 」

  誉めて貰うた事に嬉々と面を上げた蓮次丸の眼に 男の股間

 の膨らみが灰白色(はいじろいろ)にぼやりと映り 面は男へ向け

 たまま其の眼は灰白のぼやりに奪われて居た

「 首を刎ねたのは初めてか 」

「 はっ はいっ 犬や猫を捕まえては試して居りましたが 人

 の首は初めてでございます 」

「 手応えは如何であった 」

「 はっ あの斬撃の瞬間

  刀身から柄を通して此の手に伝わるあの衝撃

  犬猫と違うて 何と申し上げましたならば宜しいのでしょう

 か … 鵜納殿には真に申し訳無くも 得も言われぬ快感が全

 身を貫いて行くのを 覚えて居りまする 」

  其の時の事を思い出して居るのか其れとも 男のぼやりが其

 うさせて居るのか 蓮次丸の面は微かに上気し鉢金から滲み出

 た汗が 紅色に染まり美しい弧を描く頬を伝い 触れれば壊れ

 てしまい其うな顎の先から胸元へ滴り落ちて行き 後光の松明

 の灯りと相俟(あいま)って 此の紅顔の内に潜む怪しげな色香が

 そよりと辺りに漂い始めた

「 快感か … 憂さ気は晴れた様だな 」

  紅顔が俄に曇り 怪しくも悩ましげな苦渋が一気に満ちる

「 ごっ 御存知でございましたか … 」

「 鬼三郎から委細聞いて居る

  御前を巡り物見組の諍いが絶えず 此のままでは刃傷沙汰に

 及び兼ねませぬ とな 」

「 ゆっ 故に 熊沢様は私を村島様の従卒に … 」

  狐蛇は御酒を含みうむと呑み込む

「 むっ 村島様 

  私は 要らぬ誤解を招かぬ様既に心に決めた御方が居ります

 ると 組の皆様の前で公言致して居りましたが … 

  或る夜 あ奴に … 鵜納めに 手篭めにされてし申たので

 ございます

  其ればかりか あ奴は 蓮次丸に決めた御方など居らぬ真は

 尻軽よと 組み内に言い振り回り為に 為に私は … くっ 」

「 皆の的にされてし申たか 」

  唇を咬み 無言で頷く蓮次丸の頬を 大粒の涙が一粒ぽろり

 と転げて落ちた

「 ゆっ 故に 強く成らねばと 熊沢様の下でひたすら剣の修

 行に励んで参ったのでございます

  成れど 其の熊沢様迄があの様な … 」

「 逝った者は二度と戻らぬ

  汝(うぬ)とて 組み替えが一日遅れて居れば同じ目に遭うて居

 たやも知れぬのだ 其の命拾うたと想うて大事にするが良い 」

  はいと頷く蓮次丸の 眉間に寄る短い皺が何ともいじらしく男

 の情の琴線が音を立てて震え出す

「 蓮次丸  幾つに成った 」

「 来月で十七になりまする 」

「 なら飲れるな 御前も一口飲れ 」

「 めっ 滅相もございません 」

「 良いから此処へ座れ 」

  高鳴る鼓動を悟られまいと

  伏し目がちに男の隣へ腰を下ろした途端

「 鬼三郎の供養と想うて一杯付き合え 」

  竹筒の御酒を残らず口に含むなり 俯く紅顔をぐいと仰向け

 た男は 隙間から溢れるのも構わず唇を重ね様勢い良く御酒を

 流し込む

  後ろへ付いた両手で身体を支える蓮次丸の喉が 喉仏の動きに

 合わせてごくりと鳴り 薄(うっす)らと潤む瞳が男の情を更に掻

 き立て 御酒の残液を舌を絡めて吸い付くし離れても尚余韻を残

 すが如く互いを繋ぐ水糸が松明の灯りに煌(きら)と光って後 音も

 無く途切れて逝った


「 口移しは初めてか 」

  左手を男の股間へと誘(いざな)われ

  己の股間は男の右手で弄(もてあそ)ばれ

  腰を僅かに捩(よじ)って喘ぐ蓮次丸は 嗚呼と男に抱き付き様

 長い睫毛を一度閉じ小さくこくりと頷いた

「 … 唇は 誰にも奪われては居りませぬ

  其れだけは頑なに拒んで参りましたので 口移しはおろか口

 吸いさへ初めてでございます … 

  む … … 村島様 … … 

  熊沢様から委細聞いて居ると 申されて居られましたが …

  もしや 私が心に決めて居ります御方の御名も … 」

「 無論だ 委細とは其う言うものだ

  蓮次丸 二度と誰にも手は出させぬ故 此れからは片時も俺

 の側を離れるでない

  二人きりの時 俺は御前を於蓮と呼ぶ

  御前は俺を竜様と呼べ 前髪(まうはつ)も今宵限りぞ 」

「 まっ 真でござりまするか 村島さ … いっいえっ

  竜さま 」

「 真だ 御前も其の積もりで此処で待って居たのであろう

  於蓮 御前の望みを叶えてやる

  今を以て俺は御前の男だ 」

「 嗚呼 嬉しゅうございます

  私は 今日と言う日を生涯忘れは致しませぬ 」

「 ふっふっ 初(うい)奴

  良いか於蓮 俺は無理強いはせぬ 其れが俺の流儀だ

  だがのう 俺の物は今迄の者らと物が違う 故にたっぷりと

 舐(ねぶ)れ 舐(ねぶ)りが足りぬと其ちが痛い目に遭うのだから

 な 」

  男の下帯を解いた於蓮の眼の前に 憧れの一物が姿を現し

 其の余りの大きさに思わず眼を見張るも 躊躇うより先に舌が

 出 男の竜頭(りゅうず)を薄張りの唇花で包み込み 男に言わ

 れる迄も無く時を掛けて舐り 男の全てを我が物とす可く 蛇

 が捕らえた獲物を呑み込んで行くが如く あと一呑みもう一呑

 みと喉の奥深く送り込んで行く


⦅ 性懲りも無く 又候(またぞろ)出て来やがったなあの餓鬼

 だが 祖父の蔵治(くらはる)も 父の(まさはる)政治も 兄の宏

 実(ひろざね)さへ居らぬあの餓鬼に今更何が出来る

  此度の様に探りを入れて来る位が関の山だ

  前田の倫組は遊佐に当たらせ様と思うて居たが 左近が狩る

 と言うて居るのだ 俺の邪魔をせぬ限り好きにさせて遣るさ

  代わりに遊佐にはあの餓鬼を殺って貰おう

  ふっふっ 因縁浅からぬ仲なのだ遊佐に取っても其の方が都

 合は宜しかろうよ

  何れにせよ 御陰で俺の勢を回さずに済むわい

  鬼三郎も荒山の露と消えた今 二つに分ける可き銭も分けず

 に済むのだ 後は無事に山を抜けるだけ まるで世の中が俺の

 為に回って居る様ではないか

  千載一遇とは正に此の事

  さぶよ 彼の世で いや地獄で光秀に礼を言うてくれ

  真に良い時に信長を殺してくれたとなあっ … 

  天が与えてくれた此の機を逃しては成らぬ あと一息 もう

 一息 気張らねば成るまい … … ⦆


「 於蓮 」

  竜頭を咥えたまま上目を使う於蓮の汗ばむ面は悩ましく 

  愛惜(いとお)し気な音を立てて唇花は離れ

  抱き寄る於蓮の身体を抱え様 荒々しく板敷きへ四つに這わ

 た狐蛇は 於蓮の搦め手から一気に押し入り 真夜中の荒山に

 禽獣の咆哮が響き渡る 

                         つづく




 




  

 



   御影 弟組 MIKAGE OTOGUMI 其の弐

       禽 獣 に 五 徳

       きんじゅうにごとく



  

  開いているのか閉じているのか判らぬ眼を 

  兄温井景隆へ向けた三宅長盛の

  毛虫にも似た口髭が小さく波を打つ


「 兄上 竜三郎の申す通りの触れを廻すと致しませぬか 」

「 其うよのう 此度の事が皆に知れてし申ては兵共の士気に差

 し障るやも知れぬでのう …

  だが竜(たつ) 御主と鬼三郎の間柄は皆知って居るのだぞ

  其れでも良いと申すのだな 」

  景隆の深く長い皺が深さを増し 組み上げた右足が己の意に

 関わり無く激しく揺れて居る

「 はっ 如何に義理の弟と謂えども 物見番頭の御役を担い乍

 ら曲者を取り逃がした事実は消せませぬ

  故に此処は 御役目不届きを名分と致し手の者共々厳罰を以

 て斬首に処した事と致しまする

  其れがしが敢えて鬼三郎を斬った事により 軍の気引き締ま

 リ更には 此の石動山の衆徒らにも我らが此の一戦に懸ける意

 気込みを篤と知らしめる事と成りましょう 」

「 ふむ 表向きは泣いて馬謖を斬るの故事に倣うと言うのだな」

  先程から悩まされて居た蚊を 鉄扇で叩き落とした景隆の足

 の揺れが漸く収まり 其れを見詰める狐蛇(きつねじゃ)の如き

 竜三郎の面を左右の篝火がゆらりと照らす

「 しかし 組下の者ならば仕方無しにしても鬼三郎迄殺られる

 とは 相当腕の立つ曲者の様だのう …

  やはり 前田の透っ波か 」

「 はっ 伊賀倫組(みちぐみ)の仕業 と想われまする … 」

  先程から後ろが気になる狐蛇は 思わず明言を避けた

「 厄介だのう兄上 間諜狩りを得手とする軒猿組に助を頼も

 うにも 御家騒ぎの折りに軒猿組も二つに割れてし申て以来

 手が足りぬ故 我らに回す余裕は無いのだと 景勝様より釘を

 刺されてしまいましたからなあ 」

「 御安じ召されますな長も 

  言葉の終わらぬ内に声の主へ向けて

  狐蛇が 鋭い抜き打ちを喰らわすも

  衛士はひらりとかわし片膝付いた

「 相変わらず 御気の短い御方よ …

  其れがしでござる 村島様 」

  衛士は 陣笠の紐を解きつつゆるりと面を向ける

「 悪気(あっけ」が無い故放って措いたが

  やはり御主か 」

「 おっ 汝(うぬ)は … … 確か … … 」

「 御久しゅうござる 景隆様

  左右組(そうぐみ)の頭領左近でござる 」

「 何故(なにゆえ)御主が此処に居る … 真逆 …

  今朝方の曲者とは 汝らの事ではあるまいのう

  返答次第では 生かして措かぬぞ 」

「 はっはっはっ 村島様の御気の短さは景隆様譲りの様でござ

 りまするな … 其れは扠措(さてお)き

  先ずは 正規の手順を踏まず現れ出でました事 御赦し下さ

 れ 何せ甲斐の国より戻りました成らば 景隆様らが前田と一

 戦交えるとの事

  実は其れがし 倫組(みちぐみ)の頭領服部源心とは因縁浅か

 らぬ仲なれば 倫組の始末我ら左右組に御任せ頂きたく手の者 

 率い急ぎ罷り越した次第でござる 」

「 ほおうっ 其れは構わぬが 銭は払えぬぞ 」

「 御心配には及びませぬ景隆様

  今程も申し上げましたが 源心とは因縁浅からぬ其れがし

  此度の我らの出張りは言わば私闘でござる

  私闘で銭は頂けませぬ 」

「 左近 御主ら左右組は直江兼続殿お預かりの身の筈

  あの兼続殿が 戦に名を借りた私闘を許すとも想えぬが 」

「 村島様 直江兼続と言う御方 ああ見えて実は合理な御方で

 ござる 口に此其出しませぬが 軒猿組を温存しつつ倫組を葬

 れるのであればと本戦に関与せぬ事を条件に諾為されてござる 」

 「 左右組は飽く迄 伊賀倫組を狩る事 

  其れ以上でも以下でも無い と申すのだな 」

「 左様でござる 」

「 あの倫組を殺れるのか 」

「 其の覚え有るが故に今 此処に居りまする

  御納得して頂けますかな 村島様 」

  うむと頷く狐蛇へ 左近の細身の面に 鯰の髭の如き笑みが

 ちらりと浮かぶ

「 景隆様 手土産代わりに一つ御報告がござる 」

「 何じゃ 」

「 前田への助勢 佐久間の兵凡そ二千五百

  其れ以上は参りませぬ 」

「 まっ 真か左近 偽りではなかろうのう 」

「 真でござる 此れで負けは無う成りましたな 」

「 むううっ 此れは祝着 

  左近っ 此度の戦 勝利した暁には必ずや褒美を …

  … 左近 左近 … 

  あ奴 何時の間に消えた …

  此れだから儂は透っ波の類いは好かぬのだ 」

「 良いではござりますせぬか兄上

  倫組の頭との間に何があったのかは判りませぬが 御陰で奴

 らに銭を払うこと無く 枕を高くして寝られると成れば正に願っ

 たり叶ったリでござろう のう竜三郎 」

「 はっ 其れに左右組の出張り 兼続殿の一存ではござります

 まい 必ずや景勝様の諾を得られて居る筈 此れ此其上杉方が

 我らに信を置いて居る証でござりましょう

  其の思いに報いる為にも此の一戦 何としてでも勝利致さね

 ば成りませぬ 」

「 うむ 頼りにして居るぞ 」

「 はっ 御任せあれ 」

「 さあ兄上 そろそろ御酒と致しませぬか

  竜三郎 御前も飲って行くじゃろ 」

「 鬼三郎が居らぬ今 策を練り直さねば成りませぬ故

  其れがしは此れで 」

「 待て竜 御主ら何年に成る 」

「 はっ 鬼三郎が十四 其れがしは十五の年でございましたの

 で 丁度二十年と成りまする 」

「 二十年 … 光陰矢の如しと云うが … 真だな

  奴を偲びがてらと思うたが まあ良い無理強いはせぬ

  だが 此れだけは言うて措く

  御主らの変わらぬ忠勤 儂は心から感謝して居る

  鬼三郎の一件 真に残念であった 」

「 ははあっ 真に有り難き御言葉

  其の御言葉だけで 我ら尽くして参った甲斐が在ると言う

 もの 鬼三郎も草葉の陰で嘸喜んで居る事でござりましょう 」

「 湿っぽい話しは其れまでと致しましょうぞ

  おいっ 誰か 御酒じゃ御酒を持ていっ 」


  長盛の騒声を背に景隆の陣屋を後にした狐蛇は 荒山砦へ戻

 る道すがら一人想いに耽(ふけ)る

⦅  … … もはや あの兄弟に誰も信など措いては居らぬ

  左近 御主の申す通り直江兼続と言う男 合理な男よ

  あの男 我らを楯か堤としか見ては居らぬのだ

  其の様な男が我らに いやあの兄弟に信など措くものか

  助勢もたったの五百 此の者らとて魚津の戦で死に損ね死に

 場所を求めて参陣した迄の者共よ

  死に急ぐ者らを抱えては七尾の城を囲む事すら出来ぬと 已

 む無く此の石動山の衆徒らと手を結んだのだが 其の衆徒らと

 てあの兄弟を利用して居るに過ぎぬ

  其れはあの兄弟も同じ だが だから此其衆徒らに信を措い

 て貰う努力をせねば成らぬのだ 其の努力怠れば忽ち我らは孤

 立し滅亡の憂き目に遭うやも知れず 何より我が謀(はかりごと)

 が水泡に帰してしまい兼ねぬでなあ … 

  故に先ずは此の俺が衆徒らの信を得ねば成らぬのだ … 」

  狐蛇は一度立ち止まり

  大きく息を付いて後

  再び歩を進め出す

⦅   … … 此度 

   信長の突然の死に 景隆様は此の機に乗らぬ手は無しと

   能登国奪還を大義とし畠山の旧臣に参陣促すも 応ずる者 

  など誰も居らず集う勢は相も変わらぬあの兄弟の手勢と遊佐

  の残党のみ 

   新に兵を雇うにも 上杉の援助も高が知れたもので手勢に

  分け与えた処で底が尽きた

   兵を欲する景隆様ではあったが 無い袖は振れず 振れぬ

  事に業を煮やしたあの男は 密かに俺と鬼三郎を呼び出し有

  ろう事か 結界地の埋納銭を掘り起こし其の銭で兵を雇えと

  抜かしやがった … … 

   如何に背に腹は代えられぬと謂えども

   鎮守の為の埋納銭で兵を雇うなど

   此の地の神への冒涜であり何より

   能登国領民への裏切りに他成らぬ

   兵が足りぬと言うので有れば 足りぬ成りの策を講ずるの

   が一軍の将たる務めであろうに … …

   御仕えした頃は あれ程輝いて見えた御方が

   俺の憧れだった御方が

   貧すれば鈍すると云うが 真だな

   終わった いや 

   終わりにせねば成らぬのだ … … ⦆


   其れ迄 愚直な程従順に付き従って来た双三郎であったが

   共に心の内で同じ言葉を呟いて居たのであった

   其れでも命には従い 埋納銭を掘り出した其の夜

「 のうさぶ 孟子は五徳 仁 義 礼 智 信を守れぬ者は禽

 獣に等しき者であると説いた其うだ

   其の様な事が真である成らば 我らは禽獣に等しき者に仕

 えて居る者 と言う事に成るな 」

「 はっはっはっ 我らは獣以下と言う事でござりまするか

  成らば竜様 いっその事等しきを越え真の禽獣に成って遣り

 まするか 」

「 良いのかさぶ 行き着く先は閻魔様が御待ちの地獄やも知れ

 ぬぞ 」

「 はっはっはっ 竜様は五年前にも同じ事を申されましたが

  其れがし 未だに地獄を見ては居りませぬ

  其れに 地獄の沙汰も何とやらと申します程に 其の折りの

 為にも 銭は無いより在った方が宜しかろうと存知ますが 」

「 うむ 腹の決め時だな …

  良し決めた

  さぶよ 此の埋納銭は我らで頂くと致そう

  銭は既に何者かに掘り出され代わりに呪禁(じゅごん)の為の

 犬が埋められて居りましたと告げれば其れで良い 」

「 疑われませぬか 」

「 埋納銭の在処(ありか)を知って居るのは 我らだけでは無か

 ろう 犬が埋められて居たのも偽りでは無い故臆する事無く申

 し開きが出来る 」

「 成る程 御影の家も存知て居りましたな 」

「 うむ 生活に窮したあの餓鬼の仕業でござりましょうと申さ

 ば疑いはせぬ 」

「 成れど竜様 真逆本気で此の銭抱えたまま地獄へ行く積もり

 ではござりますまい 」

「 無論だ 銭は命在る内に使うて此其価値が在ると言うもの

  今更命が惜しい訳でも無いが もはやあの男に我らの命を託

 し 懸ける価値さへ既に無い

  折角此の世に生まれた此の命 無駄に散らさずそろそろ己の

 為に使うても罰は当たるまいて

  故にさぶ 前田とは程好く渡り合い機を見て山を抜ける 」

「 上手く抜けられますか 」

「 ふっふっ 勝手知ったる此の山よ 抜けて見せる全て俺に任

 せ措け 其れ迄 決して気取られては成らぬぞ

  決してな … … 」  

                        つづく


  

  

  

   

   


   

   







  


 

  



  

   御影 弟組 MIKAGE OTOGUMI 其の壱

       投 矢 の 棒 

       とうや のぼう        



  夏の朝吹く山風が

  東から吹き上がる海風と鎬を削り

  新緑の御山に立ち昇る数多な幟旗を

  美しく色鮮やかにはためかせて居たのも束の間

  久方の青空が西から忍び寄る墨色の雲にじわり

  と覆い尽くされ

  稲妻が天地を走り

  轟音は大気を震わし

  疎らに落ち始めた雨を強く激しい姿に変えて降る


  薄暗い緑の回廊を縫う様に駆け抜けて行く二つの

 若い影の一つが 足を止め様傍へ馳せ寄るもう一つ

 の影へ問う

「 小虎っ 何人殺れた 」

「 応っ 二人は殺った

  外に一人は股に打ち込んでし申たが其奴は動けまい

  御前は 万亀丸 」

「 俺も二人だ 」

  問い返しに応じた万亀丸が 人差し指を唇へ当て乍

 ら耳をそばだてて居る間 小虎は泥地に片膝付いて辺

 りを窺う

  万亀丸が案じた通り 雨音に紛れて止まぬ怒声が近

 付いて来る

⦅ 奴ら まだ追って来やがる

 どうやら諦める積もりは無い様だな …

 どうする万亀丸 追っては残り五人 山駈けで小虎に

 勝る者は居ない 小虎を先に行かせ一人踏み留まるか ⦆

「 何を考えて居る万亀丸 

  其の足で五人を相手にする積もりか 」

「 見て居たのか 」

「 見て居る暇など有るものか 眼に入った迄だ 」  

「 俺とした事が 岩苔に足を取られちまうとは …

  小虎っ いっその事此処で奴らを殺るか 」

「 応よ 其の言葉を待って居ったぞ 」

  

  雨足が勢いを増して降る

  正に篠を突く様な雨である

  木々や其の数知れぬ枝葉に降り当たり

  雨の音の外何も聞こえず

  視界も儘成らぬ程に


⦅ 雨殿 姿を隠すには持って来いだが

 ちょんこと降り過ぎぞ ⦆

  想いつつ 万亀丸が左の雑木に身を潜める間に小虎

 は既に 右の藪の中へと赤毛の髪を沈めて居た

  程無く

  頭(かしら)と覚しき武者を頭(あたま)に もはや小川

 と化した岨道の泥水を撥ね散らす音が直ぐ側まで迫る

「 とまれいっ …

  ちっ 雨で足跡が消えた

  おいっ 此のまま道成りで良いのだな 」

「 はっ 他の道は此の処の長雨により所々崩れて居り

 ますれば 里へ出られる道は此の道を措いて外にはご

 ざりませぬ 」

「 里へ出られてはもはや追えぬ 急がねば成らぬが

  おいっ 念の為だ枝を折って措け 遅れるなよ 」

⦅ くっ 枝折りを残すのか 急ぎ殺るしか無いが … ⦆

  万亀丸は 枝葉の隙間から小虎へ眼を向けた

  藪の陰から覗き見る小虎の眼が獣の眼に変じ

  万亀丸の仕掛けを待って居る

  二影は逸る気持ちを抑えつつ 頭(かしら)と雑兵二人

 を遣り過ごし 残る二人が標を示し終える迄息を殺して

 待った

  寸時の後

  頭(あたま)に陣笠 腹に胴丸 背に簑を纏う二人の雑

 兵は前を向いた途端心の臓を射抜かれ 前を行く者らに

 は臨終の叫びも届かぬまま膝から崩れて逝った

  標を有らぬ方へ向け様脱兎の如く駆け出す影らは 瞬

 く間に間を詰めて行き 頭(かしら)の背を追う二頭の陣笠

 がばしゃりと音を立てて前のめりに斃れ込む

  流石に今度は音が届いたか 一人先を行く頭(かしら)は

 振り向き様 腰に手挟(たばさ)む苦無を怪しき辺りへ続け

 て打ち込み

「 出て来い 下郎 」

  吠えるなり すらりと刀を抜き放つ

  飛び魚の如き銀体の飛来に熊笹の群れがざわと騒ぎ 頭

 (かしら)に言われる迄も無く 葉波をがさりと押し上げて

 二影の両首が笹波の上に其の姿を現し同時に 其れ迄激し

 く降って居た雨が小降りとなり頭(かしら)の大きな眼(まな

 こ)は 二十間程先の緑面(みども)に浮かぶ二人の顔をはっ

 きりと見て取った

「 ちっ 餓鬼か 餓鬼共何ぞに殺られるとは …

  小僧ら 何処ぞの者だ 前田の透っ波か 」

  小僧らは其れには応じず不敵にも 右手に持つ矢で肩を

 叩き乍ら頭(かしら)の大きな眼(まなこ)へ眼(がん)を飛ばし

 て返す

 ⦅ 応える筈も無いわな 仕方無し

 一人は生け捕って連れ帰るとするか ⦆

  頭は二 三歩詰め寄って気で圧し 

  刀を一薙ぎさせて正眼に構えた

  其の間に雨は止み 吹き抜ける風が雨水をたっぷりと含

 んだ頭の旗指物をゆらと揺らす

「 青備えの甲冑に白地に留紺(とまりこん)に染め抜いた三

 つ柏紋の旗指物 御主 温井の者だな

  名は 名は何と申す 」

  眼の前の男が温井の者かなど 既に承知の二人であった

 が 男の風貌に思い当たる節を覚えた小虎は思わず 問い

 掛けずには居られなかった

「 ちっ 我が問いには応じぬくせに 何とも手前勝手な餓

 鬼共よ まあ良い 名乗って遣わす

  我は 温井備中守景隆様が臣 熊沢鬼三郎(きさぶろう)だ

  此の峠の物見番頭を務めて居る故 此のまま汝(うぬ)らを

 逃がす訳には行かぬ 」

「 やはり 御主は熊沢鬼三郎か

  色白で目ばかり大きく貧相な顔立ちと聞いては居たが

  成る程 話しに違わぬ真に残念な顔立ちよ のう万亀丸 」

「 真だな … … 熊沢鬼三郎

  御主が此処に居ると言う事は 荒山砦の守将は村島竜三郎

 (たつさぶろう)と言う事に成るが 其れで良いのだな 」

  回廊を吹き抜ける風も穏やかなものとなり

  雫の落ちる音だけが静かに木霊し

  細い眼を 更に細(せば)めた其の眼の奥で

  万亀丸の瞳が鋭く光り

  二人は 露骨な殺気を放ち始めた

「 ほおうっ 既に調べは付いて居る様だのう

  もはや生かして措けぬ

  二人まとめて彼の世とやらへ送って遣る故

  仲良う暮らせ 」

⦅ ちっ 俺の名を聞いても臆さぬとは …

 生け捕るなど無理だな 

 殺らねば … 殺られる … ⦆

  餓鬼共の尋常では無い殺気に覚悟を決めた

 鬼三郎は 構えを八相に変え腰を低く落とし

 つつ右下段の脇構えに変じ じりっじりっと

 間を詰めて行く

⦅ … … 二人共 背に矢は見えぬ と成れば

 残る矢は 共に手に持つ一矢のみ

  時を稼いで挟み撃ちにする手も有るが 餓鬼

 二人を相手に組下の手を借りたと有っては 俺

 の名が廃(すた)る

  奴らとの間は凡そ二十間

  俺は十五間の間が有れば 二本同時に矢を放た

 れ様がかわせる男だ

  組の気組みを引き締める為にも 後詰めを待つ

 迄も無い 一気に片を付けてやる

  弓弦(ゆんづる)を離した時が勝負だ

  さあっ 早く矢を番えよ餓鬼共

  眼にものを見せてくれるわっ ⦆

  鬼三郎は気組みを高め 其の大きな眼(まなこ)

 を餓鬼共が持つ矢へ向けて的を絞り 刀の切っ先

 を上下に揺らし乍ら二間程間を詰めた所で詰め寄

 る足をぴたりと止めた

⦅ … … 奴ら 何をして居るのだ

 … … 何故(なにゆえ)矢を番えぬ 

 … … むっ ゆっ弓はっ 弓は何処だっ

 … … 奴ら 弓を持っては居らぬのか

 … … まっ 真逆(まさか)

 … … こっ 此奴ら … … ⦆

  手持ちの苦無を全て打ち込んでしまった事を悔

 いてももう遅い 鬼三郎の変面を二人が見逃す筈

 も無く 小虎は額に垂れたままの赤い濡れ髪を直

 そうともせず薄ら笑いを浮かべ乍ら爐〞の字に

 曲がった棒へ矢を番えつつ道に出

「 へへっ 俺達が何処ぞの者か漸く判ったらしい

 ぞ 万亀丸 」

「 ふっ 其の様だな 」

  万亀丸も爐〞の字に曲がった棒に矢を番え乍

 ら姿を現し

「 色白殿よ 何処ぞの者かと尋ねたな

  俺達の名を冥土の土産とするが良い

  我が名は 阿部万亀丸 御影(みかげ)の者だ 」

「 同じく 古藤(ふるふじ)小虎

  我ら 御影畠山次郎尊治(たかはる)様に御仕えする者

  万亀丸 今日は六月十五日 月の命日ではないか 」

「 其うだな 此れも偏に此の御山の神の御導きに違い

 無い 借りて居たものを返すのに此れ程相応しい日は

 他に在るまい

  熊沢鬼三郎 地獄で閻魔様が御待ちだ

  覚悟は良いか 」 

  言い終えるなり 二影は地を蹴り   

  一気に間を詰めた其の刹那

  矢羽根が風を切った

  貧相な顔立ちの上唇は膨らんで横へ伸び

  大きな眼(まなこ)は今にも飛び出さんばか

 りに 更に大きく見開いて額も寄る

  其の面は もはや為す術も無く己の死を感

 じ取り 其の淵へ追い落とされる事を悟った

 面となった

  十間の距離である

  二人が打ち損じる筈も無く 二人が放った二

 本の矢は 鬼三郎が振り上げた両腕を擦り付け

 喉の手前で交差し 首をずぶりと貫いた

  青備えの甲冑は がしゃりと音を立てて斃れ

  其の飛音は鬼三郎が生の最期に耳にした最後

 の音となった

「 殺ったな 万亀丸 」

「 うむ … 憎い奴だが 俺達の様な下の者に

 殺られたとあっては嘸 無念であろうな 」

「 馬鹿を申せ 

  殺し合うのに上も下も在るものかと 尊治様

 も申されて居られたではないか

  其れより 足の具合はどうだ 」

「 大事無い 案ずるなまだまだ走れる 」

  後ろから風に乗り 人の声が微か乍ら耳に入っ

 て来はじめた 今度は多勢の様である

  爐〞の字に曲がった棒を口に咥えて矢を抜

 こうとする小虎へ 万亀丸は首を横へ振る

  良いのかと問い顔を向けるも

  直ぐ様此の場を立ち去る可しとする万亀丸の

 意を察した小虎は執着せず 止めた其の手で棒

 を腰に差し戻し既に駆け出して居る万亀丸の後

 を追った

⦅ 急ぎ御報せ致さねば

 尊治様の御推察通り奴らが荒山を固めて居った

 此れで 温井と三宅の兄弟が 石動山に居るの

 は間違い無い … と成れば 今や其の僕(しも

 べ)と成りし彼の御方も居られる筈

  足は痛むが何の此れしき 兎も角急ごう

  余呉へ ⦆

  雲の隙間から差し込む陽が木洩れ日と成り

  未だ濡れて乾かぬ木の葉に照り返り

  目映い光りの輪となって二人を誘(いざな)う

  山を抜け

  共に見上げた空の彼方に

  目指す余呉は此処ぞ と

  矢羽根の如き光りの束が

  其の標を為して居た


「 村島様 熊沢様らの亡骸 たった今戻った由(よし)に

 ございます 」

「 陣屋へ運び入れよ 」

  何時又雨が降り出すやも知れず 亡骸が野晒し

 のままでは不憫だと思ったのであろう

  色黒で小柄な男だが 豪胆な武士(もののふ)で

 通る竜三郎(たつさぶろう)には珍しく 大きく窪

 んだ小さな眼の奥から光るものが落ちた

  鬼三郎とは若い頃から揃って温井景隆に仕え

 温井の双三郎と称される程 景隆の信任厚い二人

 であった

  御役の立場を超えて互いに唯一の友であり

 五年前 天正五年(1,577年)の九月十五日七尾

 城に於ける裏切りの戦(いくさ)の陣頭に立ち

 直接其の指揮を執ったのも此の二人であった

⦅ 此れからと言う時に 御前が居らんでどうする

  … … 其れにしても 御前程の男の最期の

 面が此れか … 一体 何処の何奴(どやつ)に殺

 られたと言うのだ 怯えや恐れ 絶望が一つと

 成って表れて居るではないか …

  只の透っ波などではあるまい … ⦆

  心の内で呟くも 戸板に横たわる鬼三郎の首

 に突き立つ矢を眼にした竜三郎は 解死人(げし

 にん)が何処の何奴であるのか 得心が行った様

 である

  途端に踵を返し 他の亡骸に泥が撥ね飛ぶのも

 意に介さず 未だ恐怖の色が褪めぬのか 黄色い

 歯をがちがちと鳴らし 紫色の唇から青い息を吐

 いて居る兵の戸板迄づかづかと詰め寄り 寄られ

 た兵は手を付こうとするも上手く付けずに横へご

 ろりと転がる

  其の傷から 矢が後ろから射られて居るのは明

 らかであった

  竜三郎は 心の内で舌を鳴らすも しゃがみ込

 み様手を差し伸べにこりと笑みをくれて遣る

「 鵜納 … 曲者は何人であった 」

「 はっ はい ふっ 二人でございました

  わっ 私(わたくし)が一番に見つけ出し直ぐ様

 熊沢様へ御報せしたのですが 其の間に四人が殺

 られてし申たのでございます

  おっ 恐らく前田の透っ波と想われますがとっ

 兎に角すばしっこい奴らでして … 」

「 其うか 前田の透っ波か

  其の足でよくぞ報せてくれたな

  鬼三郎には残念な事であったが 良う生きて

 戻った 傷が癒える迄ゆるりと休むが良い

  ゆるりとな … 」

  陣屋の外へ出た竜三郎は 先程の従卒の名を

 呼び 其の分厚い唇を耳元へ寄せて

「 奴の首を刎ねろ 御前が殺るのだぞ 」

  ははと畏まる従卒の口の端が にこりとほく

 そ笑む

                         つづく




 


       



     

  

 




  



      妄想超長編群像時代小説

               私本大河


               御影 弟組

              MIKAGE OTOGUMI


   作         源鹿角畠山次郎耕治

       みなもとのかづのはたけやまじろうたがはる


   画            GORI   


               作者より


            無駄に長く

            極めて読み辛く

            何時終るかも判らぬ物語りでございます

            どうしようも無くお暇な御方

            時間を無駄にして良い御方

            眠れない御方のみ

            御入室

            御待ち致して居ります

             

         ✳ スマートフォンの方は横にしてお読みください